【小説】ブラックスワンメディケーション第8話「第2章:スリーピングハンド①」

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 はい、皆さんこんにちは。双海紅葉です。

 今日は、二月七日土曜日。休日です。まあ、俺はほとんど学校なんて行ってないし、三六五日年中無休で黒十字会の仕事、もしくは将来のための自己投資をやっているんで、あんまり関係ないですけどね。毎日がエブリデイってやつです。

 あれから警察に事情を説明したり、またこっちから訊ねたり、研究所にキリンの足をサンプルとして提出したり、睡眠薬の報告書をまとめたりとかしてました。だから基本的に今は待ちですね。この前みたいに突発的に事件が起こらない限りは、ですけど。

 ちなみに、ちょっと前に言ってた死ぬかもしれないトラブルっていうのは、キリンさんとじゃれあってたことじゃないです。あんなのは日常茶飯事で、歯磨きや風呂と同じレベルです。報酬も三十万くらいだったしね。超安い。それはもうちょっと後の話。
 ああ、それにしても毎日暇で素敵だなって思います。ホント退学しようかなって思いがどんどん強まってきてます。だって、ずっとこもって自分を高められるんですよ。目標が明確に定まっている俺が、みんなと一緒に勉強する必要ってあります?

 てなわけで、今日は休みの日の過ごし方についてお話したいと思います。何か目指すものがあるのであれば、まとまった時間が取れるときこそチャンスなんですよ。俺がこんなに稼いでいられるのは、自分の能力のおかげでは決してなくて、ただ時間を確保できているっていうこと。この一点に尽きると思っています。

 一番やってはいけないのが、平日に学校や会社でストレスを抱えて、休みの日はそのストレスの発散だけをして終わってしまうっていうこと。これが最低最悪なんですよ。

 もちろんリフレッシュは大事です。そもそも勉強とかばっかりして楽しまなければ、生まれた意味がない。たった一度の人生楽しまなきゃ、と。青春はもう戻って来ないんだからっていう考え方。これ、すっごくよくわかります。

 ただし、現状に不満があって、変えたいって思っている場合は、やることをやった後に遊ばないといけないんですよ。つまんないこと言うなよって思うかもしれませんが、よく考えてみてください。学生の人はまだいいですけど、平日の仕事で稼いで、休みの日に遊びで全部使う。こうなってしまったらお金なんて貯まらないんですよ。まるで、ランニングマシーンの上を走っている状態ですよ。走っても走っても前に進まない。汗かいてるのに同じ所にずっと留まっている状態。

 まだ社会に出てない学生の人は、お金=時間とみなして今の話を考えてみてください。タイムイズマネーって言いますよね。第三文型のSVCにおいて、S=Cですから。時間はお金と同じなんですよ。

 それなのに寝て過ごすとか、ゲームして終わるとか、絶対あり得ないですよね。将来の自分にとって利益になることをやっていきましょう。でなければ永遠に今の生活の延長です。夢なんて文字通り夢のままで終わります。

 例えば、俺の妹なんかは、今日も朝から夕方までごろごろごろごろしてるんですよ。隣の部屋にいるんで、見られると怒られちゃうからちゃちゃっと書いちゃいますけど。お菓子食べて、本読んで、テレビ見て、ゲームして、その合間に勉強するみたいなね。

 あいつは可愛いし天才肌なんで、それでも成績は上位を維持してるんですけど、やっぱりそこまでだなって思うんですよ。突き抜けた存在にはなれない。

 一年前、まだ俺が学校に真面目に通ってた頃、テストの点で楓に負けたことなんてないですからね。しかも、俺みたいに年間億を稼いだりとかできるわけがないし。

 まあ、私は別に黒十字会でのし上がろうとか興味ないとか、大金なんていらない、そこそこの大学に行って就職できればいいとか言ってるんで、こんなこと言ったらまた喧嘩になっちゃうだけなんですけど。

 ただ、ぶっちぎって夢を叶えるには努力しかないということ。特に俺の場合は、部活や勉強に打ち込んでいてもいいんだけど、それはそれでカッコいいと思いますけど、さらにその先、将来に繋がることを今のうちからやっておくってことです。

 さて、そんな感じで超充実した休みを過ごせてレベルアップしたわけですけど、珍しくこの後食事の予定が入ってます。普段はめったに友達と会ったりしない(そもそも友達が少ない)んですけど、また静子が家に来ます。そして、静子だけじゃなくて、黒十字会の序列保持者である杏子も一緒です。

 鳴瀬杏子(なるせきょうこ)。黒十字会序列九位。俺の同僚ってことになります。

 ミュータントエナジーは《白透牢(ロストワン)》。いわゆる透明になれる能力です。光の屈折率を操ることができるメディアで自身を覆うことによって、光が杏子自身を避けるように進みます。ドーム状にすれば、二人で隠れたりもできるし、隠密行動とか暗殺向けですね。汎用性が高い。他には覗き、とかね。全国の男子が憧れる能力じゃないでしょうか。

 表の顔は、名古屋薬科大学に通う現役の大学生。歳は俺の三つ上でちょうど二十歳になるのかな。高校は十桜(とうおう)学園なので俺の先輩です。杏子が卒業して俺が入れ替わりに入学したので、学校で顔を合わせたことはないんですけどね。 

 見た目は今どきの可愛い女子大生って感じで、話すこともホント普通で——ま、これも見られると怒られちゃいますけど——くだらないというか、芸能人の誰と誰が付き合ってるとか、近所に新しいケーキ屋さんができてそれをSNSにアップしたりとかね。

 それに比べて俺は全然流行なんてガン無視しているので、よくイケてないとか意識高い系だねって杏子からは言われてます。そして、とにかくうるさい。ずっと喋ってるし。さらによくわかんないのは、結構可愛い部類なのに、やたらと変顔するんですよね。いっつも写メしてやろうかなって思ってるんですけど、スマホ構えると止めるんですよ。証拠を残せなくて残念です。

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