【小説】ブラックスワンメディケーション第2話「第1章:基礎から学ぶミュータント入門①」

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 こんにちは。双海紅葉ですが、まだ生きています。

 別に死ぬ死ぬ詐欺とかではなくて、トラブルに直面したのはもうちょっと先の話ってことです。今はトラブルのトの字もないくらい平穏な毎日で、今日もこの高層階にある自宅で優雅に過ごしてました。

 今日は二月五日。時刻は午後四時過ぎです。五時過ぎに友達が来る予定なので——友達っていっても黒十字会の連絡員なんですけどね——それまで暇です。

 俺が住んでいるのは四十三階建てのマンション——ヘイヴンタワーの四十二階です。一番上は展望台とレストランになってるので、居住スペースとしては最上階ですね。

 3LDKで、セキュリティもしっかりしてるし、徒歩五分圏内にスーパー、ドラッグストア、コンビニ、本屋があるし、岐阜駅直結なので雨に濡れずに電車に乗って名古屋とかに遊びに行けるし、何よりベランダからの夜景がもう最高過ぎます。一億円しましたけど、安い買い物だったなって思います。

 さて、玄関入って左がさっそく物置。使えよって感じですよね。まあ、おかげでここに色々ぶち込めるので、他の部屋がすっきりと綺麗です。右に進むと廊下の左手に警備会社のセキュリティパネル。外出する時も安心ですね。盗られる物いっぱいあるからね。

 で、その反対側には洗面所と風呂。バスタブが超広くて、足が伸ばせるしジャグジー付です。洗濯機もここ——あれ、妹のブラジャーが壁の隙間に落ちてたんで、拾って洗濯機に入れておきます。あいつはいっつも脱ぎ散らかすんですよね。注意してるけど治らない。まあ可愛いから許しますけどね。

 で、トイレを通り過ぎて、廊下の突き当たりに二つのドア。右が寝室。キングサイズのベッドが陣取ってます。妹の楓は寂しがり屋なんで高校生にもなって一緒に寝てます。

 左がリビング、キッチン、そして俺の書斎です。俺の書斎とリビングはスライド式のドアを収納するとぶち抜きで大きな一部屋にできて、これがかなり気に入ってます。

 大体の時間、俺は書斎、楓はリビングにいます。というか、いつも四時半ぐらいに帰ってくるので、もうそろそろかな。あいつは目立つから無事帰って来れるのか、いつもそわそわする——あ、玄関で音したんで多分楓です。

「お兄ちゃんただいまー。うぅ、外めちゃくちゃ寒いよー。雪降るかもぉ」

 リビングに入ってきた楓は、鞄をソファの横にドサッと置いて、自分を抱きかかえるように腕をさすってます。

「ん、おかえり。ご飯できてるぞ」

 俺はコンロに載った鍋を指した。

「えぇ、まだ早いー。お菓子食べてからー」

「ったく、夕飯分の食欲は残しとけよ。あと、ブラジャーまた落ちてたぞ」

「ええ? んもう、えっちー」

 ファンヒーターの前で充電するかのように暖を取ってた楓は、頬を膨らませて廊下へ出ていきました。クローゼットのある寝室へと向かったようです。

 あの陶器のようなつるっつるの白い肌。そして、白い髪。十桜の制服は白のブレザーなんですよね。だから全身眩しいくらいに白い。純真が服を着て歩いているような妹です。

 実はこの白色っていうのは比喩ではありません。どういうことかというと、妹はアルビノなんですよ。当然双子の兄である俺もアルビノです。

 アルビノっていうのは、簡単にいうとメラニン色素がない生物のことです。メラニン色素がないとどうなるかというと、肌が肌色じゃなくて白色になります。髪はもちろん全身の体毛が黒じゃなくて白色。瞳も色素が薄いためグレーです。白人とも違います。それよりもびっくりするぐらい全身白いんですね。芸人が罰ゲームで小麦粉にダイブしたりしますよね。本当にあんな感じ。

 まあ、あんまりいい特徴ではないです。アフリカの方では呪術に使うためにアルビノが誘拐されたりとか、とある外国では迫害の対象になったりとかって話もあるし、現に日本でも子供のころ散々からかわれた記憶があります。

 そもそも人間社会っていうのは相互監視がキツ過ぎる。特に俺らが住む日本。日本が年間三万人の自殺大国って知ってますよね。何でそんなに他人のことが気になるのか、嫌がらせをしてくるのかが意味不明です。

 俺だったらそのエネルギーを自分自身に向けます。だって無駄ですもん。他人を引っ張り落として相対的に下にしても、自分自身は何も成長してないんで、さらに凄い人が現れたら結局そこで勝てなくなるっていうだけじゃないですか。

 まあ、俺はアルビノを美しいと思っているので傷ついたりとかはないです。肌が弱くて紫外線ですぐ痛くなるし、強い光を浴びると目に激痛が走るってのはちょっと不便ですけどね。

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